あいのことば



狂おしいほどのこの想いを伝える術を、僕はどうにも持てないらしくて。
肝心な時に動きもしないこの口を、芭唐のソレに押し当てた。
先走りの液で苦いソレは、とてもとても熱かったけれど。
だけど、芭唐が生きてる味がした。

「葵って、ヤってる最中は喋んねーよな」

芭唐と付き合い始めて、何度か身体も重ねた頃、唐突に芭唐が言い出した。

「イイ声は聴かせてくれるけど」
「…バカ」
「でもさぁ、オレ結構喋んだろ?返事ないと淋しーワケ」

本当に芭唐は最中なのに、下らないことばかり良く喋る。

「葵ってこんなトコにほくろあったんだな」とか。
「その表情すっげぇそそる」とか。
「もうちょいエロい声出して」とか…。

そんなこと聞かれたって、何て答えればいい?
どうしたら喜んでくれる?
余裕ない状況でそんなこと聞かれたって、何も言えない。
何も返せない。
何にも考えられないのに。

「だって芭唐…返しにくいことばっか言ってくるじゃん」
「でもよー、葵から好きとか愛してるとかまだ聞いたことねーんだけど?」
「…………」

僕は、言葉に詰まった。
下らない言葉の間に挟まる大切な言葉。
それが、いつだって僕をますます惑わせる原因なんだって、芭唐はきっと気付いてるくせに。
そんな意地悪言うんだから。

「っつーワケで。今日こそは言わせてやっから」
「わわっ」

突然に抱きかかえられたかと思えば、ベッドの上に降ろされる。

「葵タッパあるのに軽すぎだって」

返事もするヒマもないまま唇が降ってくる。
僕はそれに応えるだけで精一杯で、ほらまた、何も考えられなくなるんだ。
電気が消され、薄暗い室内で何かに取り憑かれたかのように、唇吸いあって、手探りで指を絡めた。
苦しさのあまり芭唐の上着をキツく掴むと、唇は離れ、だけど僕の唇に、芭唐の舌が這う。

「カワイイ」

睨むように芭唐を見つめれば、服の上からすぅっと胸をなぞられる。
零れる声。
零れる吐息。
あぁ、伝えたい言葉は、数えきれないほど沢山あるのになぁ。
やっぱりカタチにならない想いが、僕の腕を動かして芭唐の頬を触る。

「葵?」

小さく首を振って微笑んだら、伸ばした手に口付けが落ち、ひっかくように僕の胸の突起に刺激を加える。

「や、ぁん」
「イイ?」

いつもより控えめな芭唐の言葉。
いつもより、何だか優しく感じる芭唐の愛撫。
全てが僕を昂ぶらせて。
痛いほどに勃ち上がり、ズボン越しでもはっきりわかるほど主張を始めているソレが、勿論芭唐に見えないはずがなくて。

「あぁ、あっ…」

すぅっ、となぞられただけで、身体中をビリビリと電気が走ったような快感が襲うんだ。
あっという間に取り払われたズボンと下着は、もう何処か見えない所へ行ってしまって、
芭唐が、僕の胸に舌を這わせながら、ゆっくりと僕自身を右手で扱き始める。

「や、あっ、ああぁっ…ん」

芭唐の手が上下するたび、水音が耳を刺激する。
頭がおかしくなるくらい続く快感に、だけど僕は芭唐の頭を自分の胸に押し付けてしまう。

もっと。

こんなこと、絶対口には出せないけれど。
芭唐の手が速くなり、呆気なく僕は、芭唐の手の中に精を吐き出した。

「やっぱ、葵ってそーだから好きなんだよな〜」

芭唐はそう言いながら、自分の手についた精液を、僕の前で丹念に舐め取ってゆく。

「や…汚いよ」

身体中が羞恥心で一杯になり、昂ぶっていた身体も、更に熱くなる。

「芭唐」

吐息の混じった声は、上手く芭唐に届かない。

「葵、愛してんよ」

何もかもわかってるとでも言いたげに、芭唐はそう言ってくれる。
だけど、僕の唇はやっぱりどうしたってこの気持ち、伝えてくれないんだ。
僕は、ゆっくりと起き上がり、芭唐のズボンに手をかけた。
チャックを下ろし、芭唐自身を取り出すと、ソレは、はちきれそうなくらい真っ赤に充血していた。
まず、先端に唇を寄せてから、一気に裏筋を舐め上げた。

「は…葵、無理すんなって…」

芭唐自身を口に含み、先端を舌で刺激しながら、根元を手で扱く。
僕の口内で、どんどん熱く膨張していくソレは、何だかとてもとても愛しくて。
熱くて熱くて。
僕の奥も、一緒に疼く。
ドクン、と波打てば、飲み下しきれないほどの精液が、僕の口内に注がれる。

「わり…」

小さく謝る芭唐に、ゴクリ、と喉を鳴らして精液を飲み干したあと、ゆっくりと首を振る。
唇の端から零れる液を、指で掬った。

「うれしいよ」

そしてその液を、舐める。
まだ、口の中に残る味。
苦くて生臭いそれは、何だか僕の愛しさを誘ってしまう。

「芭唐」

身体がまた、熱くなる。
芭唐は僕をゆっくり倒して、触れるだけの口付けを交わしながら、
僕の蕾を少しずつ少しずつ、慣らしてゆく。

「ん、んんぅ」

身体がきゅうっと縮こまって、芭唐の指を押し出そうとする。
ローションのせいで、くちゅくちゅと音を立てるソコ。
それでも段々と強引になる芭唐の指に浮かび上がってしまう、僕の腰。
そして、芭唐の指がある一点を掠めたとき。

「あ、ああぁぁっ、ん」

一瞬頭の奥が白くなったかと思えば、唇から声が零れる。
ぐいぐいと、ソコばかりを刺激され、その度に、僕の腰は大きく浮かんでしまう。
堪えているはずの声が洩れてしまう。
いつの間にか、僕のナカに入り込んだ指は3本にもなっていて、

それでも僕のソコは、芭唐を求めて収縮する。

「も、だめえぇっ、早く、来て」
「あぁ、オレももう、限界」

芭唐の指が引き抜かれたと思えばすぐに、物凄い圧迫感が身体を襲う。

「あ、ああぁぁっん」

苦しくて。
だけど嬉しいその感覚に身体を委ねて、僕はゆっくりと芭唐の背中に腕を回す。
吐息。
軋むベッド。
擦れる僕らが生み出す水音。
耳を突く沢山の音が、僕を誘う。
一つになってるこの時に。
伝えることができたなら、どんなにいいだろう。
どんなに、理想だろう。

「ば、ばか…あ、はぁっ、んんっ」
「無理しなくていーって」

だけど、さっきよりも格段にコントロールできない僕の喉や口。
伝えたい。
伝えられない。
だけど。
大好きなんだよ芭唐が世界で一番誰よりも何よりも、愛してるんだ。

「十分、わかってっから」

芭唐が、必死に言葉を紡ぐ。
無理矢理にでも作ってくれたらしい笑顔に、僕もどうにか笑い返した。
きっと、いびつであればあるほど僕の気持ちを代弁してくれるんだろう。
そして僕らは、ほぼ同時に絶頂に達した。
僕のせいでみみずばれしてしまった芭唐の肩に、軽く口付ける。

「ゴメンね」
「勲章だっつの」

芭唐らしい答えに小さく笑い合ったあと、僕はゆっくり芭唐を見つめた。

「芭唐」
「何だよ?」
「…………すき、だからね」

聞こえるか聞こえないかの大きさで零れた言葉のすぐあとに、
返事もないままきつくきつく抱き締められる。

「最中に言った方が盛り上がったのによ」
「しかた、ないじゃん」
「ま、それも葵らしくていーか」
「どういう意味?」

やっぱり、肝心なトコでうまくなんてやれないけれど。
それでも芭唐なら幸せ何倍にもして返してくれるんだろう。
軽く触れた芭唐の唇に僕は、途方もない幸せ感じて小さくまた、呟いた。
二人だけの愛の言葉。






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壱葉様に捧げます。
柳馬エロですー。
何だかもう、本当ヤってるだけですみません!としか言いようがないです。
どうにかエロく!と思いながら書いていたら、エロエロになってしまいました。
こんなブツでよければ、貰ってやってください。
愛だけは詰まってますので!
ではでは、相互リンク、ありがとうございました。
西川柚子。



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