愛してるから


愛してるから、束縛の鎖を…あなたに。






始めはほんのちょっとの出来心。
このまま葵をオレだけのモノにできたなら…。
ずっと、オレだけが見て、オレだけが全てのモノを与えて。
食欲も、物欲も、性欲も。
そして毎日、快楽に溺れる。
アホくせぇ、と闇に葬り去った考えが、再び頭を支配するようになったのはつい最近。
きっかけは、葵のこの一言。

「こんなに離れられない人、初めて」

共感すると同時に生まれてきたのは、葵を離れていったヤツらへの、醜い嫉妬心。
オレより先に葵に触れた、全ての人類。
だったらもう、誰にも触れさせねぇ。
過去を得れない代わりに、葵の未来をオレの手に。
そればかりが頭を駆け巡り、熱が高まり眠れねぇ。
オレは、葵がイく時の顔や声を思い出しながら、オナニー覚えたての猿みてーに、
必死に熱を吐き出した。

「く…っ。はぁ」

もう何度目かもわからない絶頂を迎えた朝、オレは決めた。
そう。葵を、オレだけのモノに。果てることのない快楽の世界を、この手に。




いつものようにオレ達は、部活が終われば待ち合わせ、オレの家に直行した。
一人暮らしを始める前は、こんな面倒臭いことやってらんねーと思ったモンだが、
今となってはこんなに都合のいい環境はないと思う。
シャワーも浴びず、服を脱ぐことさえ煩わしく、オレ達は互いを求め合う。
玄関先で噛み付くようにキスをして、引き裂くように服を脱がし合う。
葵はオレの首に腕を回し、オレは貪るように葵の首筋を吸った。
そしてオレ達は、抱き合ったままベッドに沈む。

「はぁっ…あぁっん…」

「っ…は…」

何度も何度も口付けを交わし、互いの身体に舌を這わせる。
触れてもいないのに昂ぶるオレ達の中心。
飽きるほどお互いの身体を楽しめば、ここからがメインディッシュ。
オレ達は、快楽には貪欲だ。
だから葵も、オレのソフトSMをしようという提案に何の疑問もなく、頷いた。
オレの真意も知らずに。
まぁ元からSのオレとMの葵の身体の相性はバッチリなワケで、
今日も何の滞りもなくお互いの役割が決まる。
勿論オレがS。
葵がM。
これも全て、計算のウチ。
この日のために準備をして置いたロープや器具を葵の前に並べれば、
葵は待ち遠しそうに身体を疼かせた。
勿論オレだって作戦とは別に、今日の行為だって大切なモンだから、
楽しみなのは変わりねーけど。
オレは媚薬を口に含み、葵の顎を掴むと、そのまま口移しで葵の口内に流し込んだ。
オレ自身は、飲んで理性失わねーようにしっかりうがい。
うがいから戻ってくると、既に葵は頬をピンクに染めて、
自身を完勃ちさせ苦しそうに喘いでいた。

「芭…唐ぁ、はや、くぅ」

甘い声に、オレの身体も疼く。
このまま此処で犯しちまいてぇ衝動に駆られたけど、
グッと我慢してロープを取り出した。

「ひゃあ…っんん」

ワザとロープを胸の突起や葵自身に擦らせながら、葵を縛ってゆく。
勿論正しい縛り方なんてわかんねーから、見様見真似。
腕をベッドに固定し、足を開かせた状態で縛る。

「すっげーいい景色」

オレが笑えば、葵は流石に恥ずかしいのか、紅潮した頬を更に赤く染めた。
少し動くだけで、ロープが擦れる刺激で感じるのか、
口からは途切れることなく苦しそうな吐息が漏れている。
もう、この光景だけで、イケそうなほど卑猥なその姿。
ビクビクと震える性器。
栓を欲しがるように収縮する蕾。
もうすぐその全てが、オレのモノに。
オレは葵の開いた足の間に腰を下ろし、内股に舌を這わせる。

「あぁっ…いやっ…芭唐…ソコじゃなくて…」

「じゃあドコだよ?口で言わなきゃわかんねーよ?」

今度はベッドに手をつき、脇腹に舌を。

「芭…唐ぁ…」

痙攣する葵の身体。
勿論、欲しいモノはわかってる。
葵の先端からは先走りの蜜が溢れ出し、腿をつたってシーツを汚す。

「あーあー葵のヤらしー身体のせいで、シーツ汚れちゃった。お仕置きしねーとな」

オレは引き出しからカメラを持ってきて、葵の目の前にかざす。

「コレ、な〜んだ」

「やっ…それはダメぇっ」

「葵の淫乱なカッコ、写真屋に見られちまうな」

「やだぁ…っ。お願いっ…やめてぇ」

オレは、葵の制止の声を無視し、シャッターをきり始める。
カシャ、カシャ、という音に合わせて、浮かぶ葵の腰。

「ンだよ、感じてんじゃねーか」

「違…っ///」

葵の言葉とは裏腹に、葵自身から少し、白い液体が飛び出した。

「じゃあ何だよコレ?」

オレは、シーツにかかったその液を指で掬うと、ペロっと舐めた。

「ウソ吐きにはもっと、お仕置きが必要だよなぁ?」

葵は、目から涙を零しながら、何度も首を振る。

「一回…イカせてっ…」

「イ・ヤ・だ」

縛られているせいで、自分で処理することもままならない葵。
究極まで焦らしてやんよ。
オレは、中指でローションを掬い、葵の秘所を指でなぞってローションを塗りたくる。
それだけで、ヒクヒクしてる葵のソコは、ピンクでヤらしくて、
オレは、中指の先端だけナカに挿れて、内壁を押すように少しだけ動かした。

「んっ…んっ…んうぅっ…」

葵はどうにか腰を動かし、オレの指をもっとナカに挿れようと足掻くけど、
オレは、上手い具合に調節して、それ以上は挿れさせねぇ。

「芭ぁ…唐。もっ……死んじゃうよぉっ……身体…熱ぃ…」

媚薬を飲ませた上、焦らし続けたせいで、葵の身体はそろそろ限界が近づいていた。
真っ赤になった性器は、解放を求めてブルブルと震え、
葵は顔を涙でグシャグシャにして泣いている。

「イかせねぇって言ったっしょ?」

でもオレは、いつものように優しい言葉はかけてやんねぇ。

(…こくん)

葵は、小さく頷いた。
そしてオレは、葵がイカねぇように葵の根元を掴んだら、
葵はその衝撃で、熱を吐き出してしまった。
ソレは勿論、オレの身体にかかる。

「何…やってんだ?」

「ごめ…なさい」

「勿論、自分で始末できるっしょ?」

「え?」

「舐めろや」

オレは葵に覆い被さり、胸元を口の辺りに近付ける。
小さくて、真っ赤な舌が、オレの身体を這いずり回る。
葵は、自分の精液の苦さに顔を歪めながらも、必死でペロペロと舐め続けている。
顔を浮き上がらせて、無理な体勢で舐めているため、縄がギシギシと音を立てる。
真っ白く細い腕に、赤い赤い拘束の痕がついている。

「ついでに奉仕しろや」

オレは、自身に手を宛がい、小さく開く葵の口に、自身をねじ込んだ。

「んっ…うぅ…」

「おっきくて、くるしっ…」

「喋ってる暇あったら舌使え。できんだろ?」

オレの言葉に、葵は必死で奉仕した。
ぴちゃぴちゃと、音を立てながら、葵の口の中で、オレ自身が膨張してゆく。

「どこで覚えたんだよ?こんなヤり方」

葵は何も、答えない。
その態度が、更にオレの嫉妬の炎を燃やしてゆく。
限界が近づいてきたため、オレは葵の口内から自身を取り出すと、
二、三度扱き、葵の顔面に精を吐き出した。

「本当葵ってヤらしー顔してっよなぁ。で、ンなフェラのテク、どこで覚えたんだって聞いてんの」

葵はただ、首を振るばかりで、やっぱり何も答えなかった。

「まーいいや。どーせオレの言うこと聞けねーような葵には、お仕置きだし?」

オレはデカいバイブを取り出し、スイッチを入れた。
それを葵の目の前にかざす。
ブルブルと振動音を立て、うねるように回転するソレ。

「欲しい?」

葵自身は、再び立ち上がる。

「もう感じてんのかよ?ま、それが答えってことで、いいっしょ?やっぱお前って最高だわ」

オレは、バイブを葵の秘所に押し当て、入り口を刺激する。

「あぁぁっ…ん。やだっ…芭唐ぁっ…ちゃんと…挿れ…て」

ガクンガクンと揺れる腰。
弓のようにしなる細い身体。
快楽に溺れる表情。
その全てがオレを惑わせる。

「いくぞ?」

オレはバイブを一気に葵の最奥に突き刺した。

「やあぁぁっ…ん。あぁっ、あ、あんっ、ひあぁっ」

バイブを抜き差ししながら、葵自身も扱く。
ずちゅっぐちゅっと卑猥な音が部屋に響いて、葵にも当然それは聞こえてて。

「何こんなやらしい音立ててんだよ?」

「僕…なに…も。はぁ…っん」

左手で持ってたバイブは差し込んだままにして、オレは左手をベッドにつくと、葵の耳を舐める。

「ココ、好きなんっしょ?」

「やぁ…好きじゃ、ないぃっ…」

「じゃあやめてもいいんだろ?」

「やぁっ」

「どっちだよ」

オレは扱く手を速め、くちゅくちゅと先端を指で刺激する。
そして耳を丹念に舐めていくと、

「あっ…あっ…ん。も、イっちゃう…ああぁぁぁ…ん」

葵は二度目の絶頂に達した。

「はぁっ…はぁ…」

苦しそうに息を吐く葵に、息をつかせる間も与えず、オレは葵のナカに入る。

「ひああぁっ…やだっ…芭唐ぁ…縄、手だけでも、はず、してぇっ」

「何…言ってんだよ、今更」

オレは自身で葵のイイトコ探りながら、葵に訊ねる。

「抱き、締めたい。触りたい。お願…芭唐ぁっ…」

うわ言のように、繰り返すそのコトバ。
抱きしめたい。
触りたい。
あぁ、オレは、何て基本的なこと忘れてたんだろう。
セックスは、快楽を得るためだけのモンなんかじゃない。

「葵…ゴメンな」

葵は、小さく首を振る。
オレは繋がったまんま、どうにか葵の縄を解いた。

「僕たち、大事なこと忘れてた…ね」

「あぁ、そだな」

葵はオレの首に腕を回し、オレはゆっくりと律動を再開する。
そうだ、こうやって、愛し合うためのものなのに。
オレは大馬鹿だ。
愛してるからこそ、オレたちは、こうして。
ひとつになれるのに。
ひとつになりたいと願うのに。
何やってんだよ。
バカみてぇ。

「芭唐…好き」

「ん、オレも、愛してんよ」

甘ったるい言葉のあと、オレたちは同時に達した。
葵の目に浮かぶ涙を指で掬い、未だ身体を震わせる葵の頭を軽く撫でた。

「バカみてーだよな。オレ、葵を自分のモンにできるとか思ってた」

「僕だって、芭唐を僕のモノにしたかったよ」

「え?」

「学校も…違うし、あんまし、会えないし。ずっとずっと、
僕だけと一緒に居て…僕だけを見ればいいって…思った。今でも…思うよ」

葵は、縛られて痕のついてしまった手首と足首をさすりながら呟く。

「芭唐のモノだって証だね」

オレの目の前に手首をかざして葵は笑う。

「束縛していい?」

オレは葵に訊ねると、返事も待たずにキスをする

「好きにして…いいよ」

葵の左手首に手錠をはめて、ベッドのパイプに繋ぐ。

「芭唐…」

右手でオレを掴むと、葵はオレを自分の方に引き寄せた。
オレの背中に腕を回し、オレの胸に何度も何度も口付けを落としてゆく。

「葵?」

名前を呼ぶと、葵は軽く微笑んでオレを見つめた。

「僕のモノだって…証」

オレは、葵の手首の痣に口付けると、葵をまた、その場に倒した。
愛欲に、溺れ続けるオレたち二人。
きっともう、このまま絡まってほどけねぇ。
縛り合って沈んじまえばいい。
オレたちは、愛してるからこそ求め合って、束縛し合うのだから。
今日からは、葵の全てがオレのモノ。












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多分、今まで書いた中で一番エロい小説かなぁと思います。
SMチックな小説が書きたい、という衝動から書き始めたこの小説ですが、
SMぽい部分があまり生かせず、
本当は司馬くんに自分でさせたりしたかったのですが、
そういう流れに持っていけず、反省点が多々あります。
が、使ってみたかった道具が使えたり、終わり方もわりと気に入っているので、まあ良いです。
もうちょっと、暗い抜け出せない感じにしたかったなぁと思いつつも、この辺で。

2004年 5月 21日


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