Better half


「葵ちゃん、やっぱ本気でコレ見ても何も感じねぇの?」
「うん」

画面の中には絡み合う男女。
そう、今僕達が観てるのは、いわゆるAVってヤツだ

「マジで!? 女にも男にも?」
「うん」

僕は今まで好きな人が出来た事もなかった。
友達がいくら女の子の話で盛り上がっていたって、全然興味もなかった。
かと言って男に興味があるワケでもなく。
僕には、これからも好きな人なんて、ずっと出来ないんだろうなって、今まで暮らして来た。
淋しいけれど、仕方ないや、なんて思いながら。
だけど、それを変えたのは天国だった。
僕の心を動かすのは、僕の身体を熱くさせるのは、世界で天国ただ一人だ。
今まで表に出なかった分なのか、僕は天国に異様に弱い。
だから、天国はそれをちゃんとわかってて、ワザと焦らして僕に意地悪をするんだ。

「あーおいちゃん」

天国は僕の頬を触ると、僕はそれだけで、背筋に電流が走ったみたいで。
指が首筋に降りると、身体の奥がきゅーってなった。

「あ、天国っ」

「どした?」

「な、何……でも」

身体中が熱くなる。
僕の心は全部、見透かされてる。

「そか」

天国はもっと近寄って首筋をつーっと舐めた。

「んっ」
「葵ちゃん、可愛い」

天国は僕の反応を楽しむように、僕の顔を何度も見た。
それだけで、顔が熱くなってくのがわかる。
天国は僕の上着の下から手を入れて、脇腹を指でなぞった。

「あ、天国ぃっ……んゃっ」

たったこれだけなのに、溶ろけそうになってしまう。

「あ゛ー!! もう我慢出来ねー!!」

天国はそう叫ぶとテレビのスイッチを消し、僕をその場に押し倒した。

「やっぱビデオより本物だよなー」

天国は僕のサングラスを外し、キスをくれた。
あまりに激しいキスに僕は何だか、食べられてるみたいな気分になる。

「んんっ……ふぅっ」

天国になら、食べられてもいいとすら思う。
天国の舌は、口の中で動き回って僕をどんどん乱してく。
唇の端から混じった二人の唾液が零れた。
この液のように、これから僕ら、混じり合って一つになる。

「葵ちゃん手ぇあげて〜」

僕の上着を脱がすと、天国は、自分の上着も脱いだ。
そして、数えきれないキスは首筋、鎖骨、胸元、腕、胸へとどんどん続いてゆく。
唇の触れる柔らかい感触と、ピリッとした痛みが交互にやって来て、今、僕の身体に散り続ける赤い天国の印。

「はぁっ……はっ、ん……」
「葵ちゃん、目ぇ潤んでる」
「もう……ダメだよっ」

僕は天国の腕をぎゅっと握った。

「まだ何もしてねーだろ」

いつもこの辺で、苦しくなってしまうんだ。
天国は僕の胸の突起を指で弄って、更に僕を煽る。

「あっ……だめぇ。天っ、国っ……あぁっ」

昇ってくる熱情。
解放を求める欲望。
こんなに誰かを欲しいと思う事。
こんなに、誰かを愛しいと思う気持ち。
教えてくれたのは全部天国だ。

「葵ちゃんって本っ当感度いいよな〜」

天国は僕のズボンと下着を脱がせ、立ち上がった僕自身を口に含んだ。

「ぁあっ…ん。天…国っ……んぁっ…」

僕の手は勝手に天国の頭を押さえ付けて、僕は簡単にイってしまった。
そして、天国は、僕の出した精液を飲んだ。

「はぁっ…はぁっ…」

僕は起き上がり、今度は天国のズボンのチャックを下ろし、天国自身を取り出した。
舌に唾液を絡め、下から上へ、すぅっとなぞる。
天国の身体が、ビクンと震えた。

「気持ち、イイ?」
「あ、あぁ」

天国自身を口に含み、入りきらない部分は手で扱く。
天国の手が、優しく頭を撫でてくれる。
時々聞こえる天国の荒い呼吸に、僕はまた、自分の熱が高まってゆくのがわかった。

「くっ…葵ちゃ…」

天国の精液は、どういうワケか、僕の口の中じゃなく、顔に思い切り放たれた。

「あーあー葵ちゃん、何やってんだよ」
「…わかんない…」
「まぁオレ的にはイイモン見れてラッキーだけどな」

天国は近くにあるティッシュで顔を拭いてくれた。

「顔…ベトベトする」
「まあ後で風呂入りゃいーだろ」
「そだね」

天国はまた僕を押し倒し、いつものローションを指ですくった。

「力抜けよ?」
「う…んあぁっ」

指が中に入ってきて、その中でもある一点を探すように、天国の指が動く。

「ひっ…あぁぁっ…ん」

指がソコをかすめると僕は思わず大きな声を上げてしまった。

「あった。葵ちゃんのイイトコ」

天国は僕の中をかき回し、僕はその度に腰を浮かせてしまう。
指は二本、三本と増えてゆき、天国は嬉しそうに僕が乱れる様子を眺めている。
僕はその視線を感じてこんな姿見られてる事が、凄く凄く恥ずかしくて堪らない。
だけど、それさえも今は、快感へと変わってゆく。

「よっしゃ、そろそろいっか」

天国は僕の中から指を引き抜いた。

「挿れっぞ?」
「ん、来て…」

物足りなさを感じる前に、天国が僕の中へ入ってきた。

「ひあぁっ…ぁんっ」

天国が動く度に、僕の身体も揺れる。
天国の背中に腕を伸ばして、同じリズムを感じるのが好きだ。
結合部からは水音。
僕の口からは嬌声。
天国の口からは吐息。
三つの音が重なり合って静かな部屋に鳴り響く。

「ぁああっ…ぁんっ。天国っあま…くにぃっ…んぁあっ…」
「くっ……葵ちゃ…」

そして僕達は、同時にイった。
達してもまだ、僕達は繋がったまんまで、上に乗っかってる天国の重さに僕は、幸せを感じてる。
息を整える天国の上下する胸が、身体に直接伝わる。
おかしいよね。
身体重ねる度に、僕達一つの物になってる気がするだなんて。
天国は笑うかもしれないけれど、僕は本気でそう思うんだ。

「よっしゃ。風呂入っか」
「え、一緒に!?」
「当たり前だろー」

天国は起き上がり、僕の手を引きお風呂場へ向かった。
そして僕を洗い場へ座らせて、シャワーの温度を確認する。
最初は僕の顔にかけ、そして身体全体へかける。
スポンジでボディソープを泡立たせ、僕の身体を丁寧に洗ってゆく。
僕は、自分で洗えるよと言おうかと思ったけれど、天国があんまり嬉しそうだから、されるがままになっていた。
天国の洗い方は、意外に凄く優しくて、僕はとても心地良かった。

「なんかオレらって、性格とか、補い合ってるっつーか。上手く言えねーけどよ、ピッタリはまる感じしねぇ? 元は、一個のモンだったみてぇに」

僕は、驚いて天国を見た。

「ん? どーした?」
「……同じ」

嬉しくて、嬉しすぎて…顔の緩みが止まらない。

「僕も、同じこと…思ってた」
「マジで!? なんか、そーゆうのっていいよな〜」

天国の言葉に僕は、何度も頷く。
頭をぶんぶん降ったら泡が飛んで、天国の顔にかかった。

「葵ちゃん、泡飛んでるって」
「あ…ごめん」

天国は笑いながら、僕の身体の泡を流す。
ねぇ天国 「Better half」って言葉を知ってる?
全ての人間には、世界にたった一人、自分とピッタリはまる異性がいて、その人の事を「Better half」って呼ぶんだよ。
そしてそれが、自分の結婚する相手なんだって。
僕達は男と男だけど。
僕達は、異性じゃないけど。
でも、そんな事は関係なくて。
僕をドキドキさせるのは、天国しか居ないから。
僕の心掴んで離さないのは、天国だけだから。
僕にとっては、天国が世界にただ一人の。 「Better half」
生涯を、共にする人。



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サイト名の由来になった小説です
こういう激甘なの書いてると凄く楽しいです。
西川の小説は長くなればなるほど暗くなってゆくのですが、最後まで甘々でラブラブな2人が書けたので良かったです


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