ドロップアウト
抱き締めて欲しいなぁと思ったときから、始まっていた。 下らない想いをドロップして。 あぁ世界の果てまで堕ちてしまおうか。 二人で一つ。 僕ら、何処へだって、行ける。 高く高く聳え立つ、鉄筋コンクリートの建物の、階段を一気に登った。 「オイ、こんなことして何になるっつーんだよ」 後ろから、御柳のだらしない、声。 「野球部なのに、何してんの」 「最近練習出てねーんだって」 「勿体無いなぁ」 アルミ製のドアを開ければ、眩しい太陽の光と、青い青い空。 「ほら見て、綺麗」 ようやく登りきったらしい御柳の手を取り、屋上の真ん中まで連れ出す。 「オー、すげぇ」 「ね。来て良かったでしょ?」 「あーまぁな」 こめかみにかいた汗が、太陽の光に反射して、きらきらと揺れている。 乱れた髪の毛が、風と一緒に揺れる。 僕は、御柳から眼を反らし、一人で屋上の淵へと向かう。 「オイ、何してんだよっ」 慌てて、御柳が僕を追う。 「飛び降りるわけ、ないよ」 ただ、覗いてみたかっただけ。 「何か、むずむずした」 「あのなー…もうチョイ考えて行動しろ」 「ん、ごめん」 焦る御柳の声を聞いてると、何だか物凄く悪いことをした気分になる。 僕は、もう一度御柳の手を取ると、屋上の真ん中に戻った。 もしも僕が堕ちるときは、一緒に落ちてくれる? 震える足とは裏腹に、そんなこと考えてたなんて。 言えるわけ、ない。 ++++++++++ 話に入る前の、抱き締めて〜行ける。みたいな所を考えるのが好きです。 最近そうやって書き始めることが多いので、ふと思いまして。 てかヤマなしオチなし意味なしですみません。
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