笑顔



涙が出るのを、人のせいにした。
僕の中で空回る感情を、整理できずにいた。
それでも抱き締めてくれた。
好きだと言って、名前を呼んでくれた。
それだけが僕の全て。
それだけが僕の生きる意味。



「葵ちゃん、こっちこいって」
「うん……」

笑って手招きする猿野の胸に身体を預けた。
ぎゅうっと抱き締められる感触は、何物にも変えがたいかけがえのない感覚だ。
ゆっくりとベッドに倒れ、そのままで抱き締めあう。
熱い猿野の身体に、僕の熱も上がる。
頬も、染まる。

「葵ちゃん、好き」
「ありがとう」
「すげー好き」
「うん」
「大好き」
「わかってるよ」

あまりに猿野が連発するものだから、思わずかわして目も反らす。

「葵ちゃん」

頬を手で挟まれて、強引に視線を絡ませられる。
かぁっと熱くなった僕の頬に、猿野は笑って口づけた。
あまりに愛しすぎるその笑顔に、僕は何だか零れそうな涙を堪えて下唇を噛んだ。

「猿野」
「どうした?」
「猿野の笑顔って、いいよ、ね」
「どっ!? どうしたんだ? いきなり」

突然の僕の言葉に、猿野は驚いて起き上がる。
僕は既に擦り切れてしまいそうな勇気を振り絞って言葉を続ける。
伝えなきゃ。
伝えなければ。
いつも、好きだと言ってくれる猿野に。
整理しきれた僕の気持ち。

「いつも、猿野の笑顔で嬉しくなるから。これは、伝えなきゃ、って」
「そか」

猿野は、恥ずかしそうに微笑むと、ちら、と僕を見た。

「オレも、葵ちゃんの笑顔、すげー好き」
「……」

頬を染めあって、二人で笑う。
ついばむようなキスを交わす。
目を合わせて笑った瞬間、これこそが僕の存在する理由だと思った。







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あまーい。ブラジルの黄色いお菓子より甘いよおざーさん。



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