fly
「どうして?」 理由なんて、何もない。 葵。 君がただ、とても美しくてとても憎らしいだけ。 君の翼が羨ましいだけ。 「理由 必要?」 霧咲の冷たい笑顔に、司馬は言い表せない恐怖に小さく身体を震わせる。 司馬の反応を楽しむかのように、霧咲は銀色に輝くナイフを、司馬の首筋に滑らせた。 「やだよ。やめて……」 少しだけナイフを横に引けば、司馬の首から一筋の血が流れる。 真っ白なシーツの上。 散らばる青い髪。 零れる赤い血液。 「葵 私 飛行不可能 翼 不所持」 歪んだ霧咲の瞳が、司馬を映して微かに揺れる。 司馬の血液が付着したナイフが、ゆっくりとベッドの上に落ちた。 司馬は、何も言わずに霧咲をきつく抱き締める。 青と金の髪の毛は、決して混じり合うことなくベッドの上に散らばった。 「飛べなくたって、いいんです」 「何故?」 理由なんかいらない。 僕はただ、貴方と居たいだけ。 この翼引き千切ったって、傍に居たいだけ。 +++++++++++ ピンクスパイダー聴いてたら書きたくなった雀馬。 やっぱスパイダーがつく歌は霧咲さんぽくていいな。 ハングリースパイダーも気になる今日この頃。
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