破壊と創造
「そんな、自分の身を滅ぼすような戦い方はやめてください」 山崎が乞うように呟くと、沖田は小さく一つ笑う。 「でも、山崎は俺を壊してはくれねーだろィ?」 さっきから、やたらと優しく自分に触れてばかりの山崎に、沖田は哀しげな顔で言い放つ。 いつからか習慣化したこの行為も、今まで剣を交えてきたどんな相手も、自分を壊してはくれないと沖田は山崎の下で目を伏せた。 柔らかな舌が身体を這い回る時。 自分の身体が山崎を受け入れる時。 こんな風に反応して、色付くのは確かなのに。 「何か、全部が夢みたいなんでさァ。この目が映す景色にも山崎にも、フィルターかかってる気がするんでィ」 荒い呼吸で達した後、沖田は山崎にしがみつくようにして抱きつき、小さく零す。 誰かと剣を交える時、血を浴びずとも倒す術なんてとうに心得ているはずなのに、沖田は必ず全身に血を浴びて帰って来た。 それは自分への戒めなのだ、と呟くその様は、いつもの沖田の面影など何処にも見受けられない。 「夢なんかじゃ、ないです。おれは此処に居ます。貴方の、傍に居ますよ?」 今にも泣き出してしまいそうな山崎に、沖田はくくく、と笑ってその後少しだけ泣いた。 「違うんでさァ、俺は、こんな俺なんて壊して欲しくて。そんな答え、一つも望んで……」 「嫌です。誰にも壊させません。おれは沖田隊長より弱いけど、それでも」 山崎は、薄い布団の中で小さく震える沖田を力いっぱい抱き締める。 こんなに、誰かを愛しいと思えるなんて知らなかったから。 貴方に触れて初めて知ったんだから。 「おれが沖田隊長を守ります。夢だ、なんて言わせない」 今まで、嬉しいことや悲しいこと。 淋しいことも苦しいことも楽しいことも。 沢山沢山あった。 けど、もうそんな思い出なんか要らない。 これから訪れる未来も全部要らない。 貴方の未来を、おれに背負わせて下さい。 「プロポーズじゃねィんだから」 「おれは、そのくらいの気持ちですよ?」 布団に潜り込んでいた沖田が、そっと涙目の顔を晒すと、山崎はにこりと笑う。 ぐいっと目に溜った涙を拭き取り、沖田はペロりと舌を出す。 「俺の未来は重いですぜ?」 「望むところです」 布団の下で、きつくきつく手を握った。 壊すことより育むことの方が大切だとわかった。 +++++++++ 駄目だ、山沖書くと全部こんな感じになってしまいます。 精進せねばー。
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