白昼夢


「土方さん、アンタの負けでさァ。約束、守ってもらいやすぜ」

夢を、見た。
夢の中で、オレと総悟は副長の座を賭けて闘っていた。
膝をついたら負け、相手に傷を付けたら負け。
そんなルールで始まった遊び半分の闘いは、開始から数十分、
予想もしなかった形で終幕を迎えた。
簡単に避けられたはずのオレの一振りに、総悟は自分から向かって散った。
そして、血しぶきで真っ赤に染まったオレを見て笑い、
最初の一言。
オレはそれと同時に目が覚めて、慌てて自分の身体を確認すると、安堵の息を吐いた。

「どうしたんでさァ、土方さん」

もそもそと、隣で布団が動く。
そうだった。
コイツが泊まりに来てたんだった。

「あー何でもねェよ」

わしゃわしゃと総悟の頭を撫で、もう一度、布団の中へと戻る。
刀を握っていた感触が残ったままの手で、総悟を抱き寄せた。

「土方さん…今日何かおかしいですぜ?」
「何でもねーって言ってんだろ」
「土方さん…」

総悟は、何か腑に落ちない様子だったが、震えるオレの手に、
自分の手を重ねた。

「ミントンにでも目覚めやしたか?」
「テメーはオレをおちょくることしか頭にねーのか」
「冗談でさァ。土方さん、オレは何処へも行きやせんぜ?」
「総悟ォ」
「何ですか」
「お前は本当に、腹の立つヤツだ」
「何がですかィ?」

オレの手に重なる総悟の手は、ヤケにひんやりとしていて、オレは思わず身震いをした。

「夢の中でも手がかかる」
「土方さんの夢の中の自分にまで、責任取れやせん」

オレが、総悟を抱き締める手に力を込めれば、
オレの手に重ねていた総悟の手にもグッと力が入った。
良かった。
総悟は確かに此処に居る。













++++++++++

突発的に書きたくなったシリアス甘。
こういう、シリアスな雰囲気なのに甘い小説が一番好きです。


戻る


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送