反則


唇掠めた感触が、熱を上げる。
赤くする。
目を閉じて息してる。
貴方の寝顔に、見とれていた。


「寝てる時が一番可愛いんだけどな」

土方は、いつの間にか自分の部屋で眠っていた沖田のアイマスクを少し上げて寝顔を確認すると、柔らかそうなほっぺたを指で突いた。
目蓋を縁取る長い睫毛。
風に揺れる栗色の髪。
普段の沖田からは想像もできないような表情に、土方は一瞬見とれてしまい、焦って沖田のアイマスクを下げた。
再びふざけたアイマスクに覆われた沖田は、相変わらず規則正しい寝息を立てて眠っている。
土方は机の前に戻り、どうにか気にしないように仕事を再開しようとするが、静か過ぎる部屋に響き渡る寝息に、どうしても気を取られてしまう。

「何なんだ、コイツは本当に」

普段から、自分の気を惑わすことしかしない沖田に、こっそりと悪態を吐き、土方は再び沖田の方へ近寄る。
相変わらずの寝顔とふざけたアイマスク。
規則的な寝息。
馬鹿な子ほど可愛いとはよくいったもので、土方にはそれら全てが愛しくて堪らない。
土方は、わしゃわしゃと沖田の髪の毛を撫で、少し戸惑ったが、小さく触れるだけのキスをした。
唇が触れた瞬間に、身体中の血液が、逆流したように沸きあがる。

「頭冷やしてくるか」

そう呟いた土方が静かに部屋を出て行った後。
沖田はもたれていた柱からがくんとずれ落ちる。

「こんなの、反則でさァ……」

途中から目が覚めていたらしい沖田は、ようやく訪れた開放感に深い溜め息を吐く。
そして徐々に熱くなる頬に手をあて、土方を思った。

「土方さんのばかやろう」

顔を洗ってきたらしい、土方の足音が近づいてくる。
沖田は、もう一度体勢を立て直して目を閉じた。
どうやら着実に近づいていたらしい二人の心の距離に、湧き上がってくる喜びをどうにか無表情に抑えた。









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一気にくる土方さんと徐々にくる沖田さん。
近すぎてもどかしい土沖も好きだなぁ。
何ていうか今更言えねーよ!みたいな。



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