はつこい
今なら死んでもいいだなんて、そんなイカれたこと考えてしまうくらい僕は、 犬飼に堕ちてるんだよ。 零れそうな涙を、必死になって堪えた。 震える身体が、犬飼にも反響するように、揺れる。 「司馬、大丈夫か?」 「ん、来て…」 手探りで必死に手を絡める。 僕のナカから犬飼の指が抜けたかと思うと、犬飼自身が、宛てがわれるのがわかった。 「とりあえず、力抜け?」 暗闇の中、小さく頷いて。 それでもまだ、受け入れることができない。 「痛っ…」 痛みに顔をしかめると、上から唇が降ってきた。 なだめるようなキスに、こわばる身体が少し、緩む。 「やめとくか?」 心配そうな犬飼の問掛けに、僕は小さく首を振る。 「大丈夫、だから」 僕がそう返事をすると、犬飼の掌が僕自身を包み、ゆっくりと上下し始めた。 「あっ…やあっ…ん」 だんだんと、ほぐれてゆく身体。 少しずつ少しずつ、入ってくる犬飼を、僕は受け止めるべくゆっくりと息を吐く。 圧迫感が身体中を支配して。 苦しくて。 それでもどうにか一つになりたくて。 早く、僕を開拓して。 僕は、犬飼の首に腕を回して、グイッと自分の方へ引き寄せた。 「あぁあっ…は…」 「…無理しなくていいぞ?」 ついに奥まで入ってきた犬飼に、僕は苦しくて顔が歪む。 だけど。 だけど。 「いぬ、かい…っ。はや、く」 一つになりたい。 今更離れるなんてできないから。 今更、離したくなんてないから。 「動く、ぞ?」 犬飼の言葉に、僕は小さく頷き、犬飼の唇に、触れるだけのキスをした。 それを合図に、ゆっくりと律動が始まる。 「あっ…あぁぁっ…犬、飼…。犬飼いぃっ…」 「司馬…」 犬飼の動きに合わせて、身体がしなる。 荒い息遣いに同調するように、唇から声が零れる。 痛みが、快楽へとかわってゆく。 僕らきっと、今なら一つ。 ただただ二人で、このまま揺れていたいんだ。 例えば世界が終わる瞬間すらも、邪魔なんかできない。 僕らを引き離せない。 誰にも、邪魔なんてさせない。 やっと繋がれた幸せに、堪えていた涙が溢れ出した。 絡む指を、強く強く握った。 その強さが心地よかった。 今なら、何処へだって行ける気がした。 何にだって、なれる気がしたんだ。 犬飼自身が内壁をえぐるように僕の中動き回って、僕自身を扱く手も、速さを増してゆく。 堪えようとする前に、声は全て唇から零れてしまう。 ビクン、と身体が痙攣した瞬間。 「あ、あぁぁっ…ん。はぁっ…」 突然真っ白になる目の前と、だんだんと薄れゆく意識。 閉じてしまいそうになる目が捉えたのは、誰よりも愛しい犬飼の姿。 僕はそれを確認し、途轍もない幸せに包まれると、ふっ…と意識が飛んだ。 はっきりしない意識のまま、恐る恐る目を開けると、見慣れた薄暗い天井が視界に入る。 チラ、と隣を見ると、寝息を立てる犬飼が居た。 つい数時間前のことを思い出せば、顔が少し赤らむのがわかった。 手を伸ばし、携帯を掴むと無機質な文字が午前3時を示していた。 カーテンの隙間から覗く空は、まだ少し、灰色だ。 だけど何だかそれがとても、嬉しかった。 まだ、夢の中にいるみたいで、昨日のことが夢みたいで。 それでも夢じゃないことがわかるから。 幸せが、ふんわりと身体を包む。 未だ残る痛みに現実感が増して、涙が零れそうになる。 僕は少し、隣に眠る犬飼に近寄って、肩に自分の額を押し付けた。 無理だと思っていた。 こんな日が来るなんて、こんな幸せを感じることができるなんて、考えもしなかった。 「犬飼…」 小さく名前を呼んで、硬い銀色の髪の毛に触れる。 つん、と香る汗のにおいに堪らなくなる。 「犬、飼」 もう一度、今度は少し大きな声で呼ぶと、犬飼は僕の後頭部を押さえ、 グイっと自分の方へ僕を引き寄せた。 「すき」 耳元で囁こうとした言葉は、犬飼の唇に遮られた。 唇が離れたら、もう一度言おうかと思ったけれど、もう何も考えられなかった。 「司馬…とりあえず、好き」 耳元で囁かれた言葉にただ一つ返せることは、相変わらず、僕が犬飼に堕ちてるってことだけ。 ++++++++++ 粧あきら様へ捧ぐ相互御礼、犬馬エロです。 てかコレ…ヤってるだけじゃないですか! すみません、最中から書き始めるという暴挙に出てしまいました。 格好良い犬飼くんで、というリクでしたが、正直犬飼くん存在感薄…(ゲフンゲフン) あわわ…すみません! 一応、テーマは初めての…、という感じです。 こんな物でよかったら、貰ってやってください。 相互、本当にありがとうございました。 西川柚子。
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||