欲しいもの







「土方さんは、何でも一つ欲しいものが手に入るとしたら、何か欲しいモンはありますかィ?」
「欲しいもの?」

沖田の質問に、土方は腕を組んで真剣に考え込んでしまった。
マヨネーズ王国への鍵だとか、くそ真面目な顔で言うのだろうなんて軽い気持ちで質問した沖田は、少々意外に思って土方の顔を覗き込む。

「そんな真剣に考えるような質問じゃねぇでしょう」
「あ、あぁ。じゃあ訊くが、お前は何なんだ?」
「わかってる癖に、俺に訊くんですかィ? 土方さんが言わなきゃ答えやせん」
「何だよ、そりゃあ」

沖田の返事に、土方は再び考え込む。
沖田は、そんな土方が物珍しいのか、ずっとその横顔を見つめている。

「土方さんのそんな真剣な顔、久しぶりでさァ」
「お前もちったぁ脳使え。ますます軽くなるぞ」
「俺のは軽いんじゃなくて、軽量化を図ってるんでィ」
「同じことだろうが」

しばらくそんな掛け合いが続いた後、辺りを緩やかな静寂が包む。
それはとても心地良くて、とても幸せな沈黙で。

「思いつきやした?」

静寂を破る沖田の声に、土方は沖田を見遣り、自分の方へ抱き寄せた。

「どうしたんですかィ?」
「俺が欲しいのは、こんな感じの安らげる時間だ」
「馬鹿だなぁ土方さん」
「上司に向かって馬鹿とは何だ、馬鹿とは」
「そんなの俺がいつでも作ってあげるのに」

その言葉に、土方は更に強く沖田を抱き締める。

「その証拠にほら、見て下せェ」

そう言った沖田が指差した先には、墨汁にたっぷりと浸った重要書類。

「オイ、あれは何だ」
「すいやせん。さっきぶつかって零しちまいやした」
「お前俺があれ書くのに何時間かかったと思ってんだ! お前は安らぎどころかとんだ疫病神だよ……」
「てへ」
「誉めてねーぞ」

そんなことを言いつつも、土方は沖田の肩に顔を埋める。

「片付けなくていいんですかィ?」
「知るか。それよりお前の欲しいものは何だ」
「そんなの、決まってるじゃねィですか」

沖田は土方の背中に腕を回して呟く。

「土方さんを、一生付け狙う権利でさァ」
「いや、本当勘弁して下さい」

土方は、これからもこの憎たらしくも愛おしい疫病神と一緒だと思うと嬉しいながらも複雑な気分だった。
沖田は、土方の答えを胸で噛み締めつつも、次の悪さに考えを巡らすのだった。








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西川は159センチ45キロの体型が欲しいです 笑






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