一方通行


「芭唐が悪いっ」
「葵に決まってんっしょ?」
「芭唐だよっ」
「葵だっての」

じりじりと見つめ合い同時に目を反らす。
これでしばらく、口を聞けない。
また、やってしまった。
おんなじ部屋の角と角で、相手に背中向けて縮こまる。
何から何まで正反対な僕らには、喧嘩が絶えない。
今日の喧嘩は、お互いが持ってきたビデオのどっちを先に観るか。
我ながら、下らないと思う。
でも、さっきまでは本当に許せなくって、顔も見たくなくて、
今こうして背中向けてるワケなんだけど。
既に顔見たくなってることが悔しくて、そんな自分も嫌になる。
僕らきっと、手繋いだまま別々の方見てる。
繋いでたいって気持ちはおんなじなのに。
どうして擦れ違うんだろう。
沈黙が、痛い。
沈黙には慣れてるはずなのに。
芭唐とのこうゆう沈黙は、たまんなく痛い。
振り向きたい。
振り向けない。
芭唐もきっと、おんなじこと思ってる。
だけど未だ背中向けたまんま。
壁ばかり見つめてる。
一方通行の道で、衝突するばかりの僕ら。
瞬きを、する。
何度も何度も、する。
次、目を開いたら振り向こうって思って、また閉じる。
今度こそって思った瞬間。
芭唐が僕を後ろから抱き締めてくれるんだ。
いつも。
















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こういう御柳くんいいと思う。



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