着せ替え葵ちゃん4
「葵、オレ悪霊憑いてるかも」
「は?」
司馬は、呆れた様に御柳を見る
「だって葵、最近全然ヤらせてくんねーし…これは絶対悪霊の仕業だと思うんだけど?」
司馬は、確かに芭唐の頭にはお目出度い何かが憑いているかもしれないな、などと思いつつ答える。
「部活…忙しんだもん」
「部活のメニュー考えてんのって誰?」
「監督と3年の先輩達だけど…」
「やっぱり…」
「どうして?」
「十二支に見るからに怪しー奴居るじゃんよ仏教って感じの…」
「うん」
「ソイツがオレと葵が付き合ってんのが悔しくて、オレに悪霊を憑けたんだ」
「………」
司馬はもう、開いた口も塞がらない。
「つーワケで葵、お払いしてくんね?」
「そんなの…出来るワケないじゃん。お寺行きなよ…」
「わかってね〜なぁ」
御柳はヤレヤレ、という風に部屋の押し入れをあさり始める。
「何が?」
「寺なんか信用出来ねーよ、大体オレにとっちゃ神より葵のが大事だし?」
「寺は…仏じゃないの?」
「口説き文句にツッコむなって。お、あったあった」
御柳は押し入れの奥から、紙袋を取り出した。
「何?それ?」
司馬は何だか嫌な予感を感じたが、一応尋ねる。
「葵、これ着て清めてくれや」
御柳が袋を逆にすると出てきたのは巫女装束。
司馬が、そういえば3年のマネージャーがこんなの着てたな…。
なんて思い出していると、いつの間にか上半身は裸になっていた。
「ちょ…何すんのっ?」
「着させるに決まってるっしょ」
「まだ、着るって言ってない」
司馬は真っ赤な顔で抗議する。
「葵は、オレが呪い殺されてもいーんすか?」
意地悪そうに言い、カチャカチャと葵のズボンのベルトを外す。
「ちょ…バカ…やめ…」
司馬は御柳を必死で止める。
「いーじゃねーか、着てくれる位」
「じゃあ…芭唐なら着れるの…?」
「当〜然っしょ?」
御柳はニヤっと笑い、また押し入れを漁り出す。
「オレも着てやっから葵も着ろ」
そう言って、今度は神主の衣装を取り出した。
「それならいいっしょ?」
「………」
司馬は何も答えない。
「着ねぇなら、襲うぞ」
御柳の言葉に、司馬は急いで巫女装束を取った。
この選択が正しい物では無かった事は、勿論まだ司馬は知らない。
お互い背中合わせになり、着替えてゆく。
器用に着替える御柳とは違い、着慣れない巫女装束に、司馬は悪戦苦闘。
しかし、どうにか着替え終る。
「出来たか?」
「…うん」
「じゃあ、せーので前向くぞ?」
「…うん」
「せーの」
「………」
「………」
向かい合った2人の間に、沈黙が流れる。
芭唐って和服っぽいの似合うなぁ…。
司馬がぼんやりそう思っている間、御柳の頭の中では、妄想が渦巻いていた。
似合うだろうと思っちゃいたが、予想以上だなこりゃ…。
「芭唐?」
長い沈黙に流石の司馬もおかしいと感じ始めたのか、首を傾げ、御柳を見上げる。
そのアングルはヤバすぎっしょ…。
こんなんが出てきたら清めて貰うどころじゃねーなあ。
つかむしろ…汚してぇ。
御柳は司馬に近寄り、深く口付けると、そのままその場に押し倒した。
「ちょっ…着るだけって…約束したじゃん!!」
「そうだっけ?覚えてねーわ」
御柳はそう言ってケラケラと笑う。
「やぁっ…ぁん…。ほんと…やめて…」
司馬の首筋に舌を這わすと、口から声が洩れる。
「オレが身体で清めてやんよ」
「僕…悪霊なんか憑いてないもん」
「いーや、憑いてるぜ強烈なのが」
「…本当?」
司馬が怯えた様に尋ねる。
「だってもう、オレからは離れらんねぇっしょ?」
「バカぁっ」
その言葉と同時に、司馬は御柳を突き飛ばす。
「何で今日に限ってそんなに嫌がるんだよ?別に、いつもヤってるコトじゃね?」
「だって…こんなカッコでシたら…バチあたりそうなんだもん」
「ぷっ…」
司馬のそんな言葉に、御柳は思い切り吹き出し。た
「ヒドい…もう…知らないっ」
帰ろうとする司馬を、御柳は後ろから抱き締める。
「そんなカッコで帰る気かよ?」
「着替えるから…はなしてっ…」
司馬は御柳の腕の中でもぞもぞと動くが、御柳は更に力を強める。
「ぜってぇイヤだ。さっきのは、おかしくて笑ったんじゃなくて、葵が可愛かったから笑ったんだよ…」
御柳は司馬を自分の方に向かせる。
「だ〜い丈夫だって。バチなんかあたんねーよ。オレが守ってやっから」
「…絶対だよ?」
「当たり前っしょ」
「良かったぁ」
微笑む司馬に、御柳の理性は吹っ飛んだ。
「た〜っぷり除霊してっから、覚悟しとけや」
「除霊されるのは…芭唐じゃないの?」
「あ?ンなモン嘘だよウ・ソ」
「何そ……んんっ」
司馬の抗議は深い口付けによって遮られた。
「次は浴衣な」
耳元で囁く御柳に、自分には悪霊よりタチの悪いモノが憑いているかもしれない…。
と頭を悩ます司馬だった。
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