着せ替え葵ちゃん9


今日は屑桐の誕生日。
2人は部活帰りに待ち合わせをし、買い物をした。
司馬の家で料理とケーキを2人で作るのだ。
司馬の家に着き、早速料理を始める。
料理は続々と出来上がり、残るはケーキが焼き上がるのを待つだけとなった。

「もう少し、時間がかかりそうだな。食べ始めておくか」
「そうですね。温かい内に」

料理が並んだ食卓を2人で囲み、ジュースの入ったグラスで乾杯をする

「無涯さん。誕生日、おめでとうございます」
「ああ、ありがとう」

2人は、目と目を合わせ、にっこりと笑う。

「これ…プレゼントです。あの…大した物じゃ、ないんですけど…」
「開けても、いいか?」
(こくん)

包みを開くと、その中からは折り紙の本が何冊か出てきた。

「ありがとう。兄弟たちも、きっと喜ぶ」
「喜んでくれて…嬉しいです。僕、あの…」

その時、司馬の手がコップに当たり、コップが倒れてしまった。

「あ〜…」

司馬がぼんやりとしている内に、ジュースはセーターやズボンにどんどん染みを作ってゆく。

「何をやっているんだ」

屑桐は苦笑しつつも、すぐにタオルを持ってきて、机から滴るジュースをせきとめた。

「始末はやっておく、着替えて来い」
「は、はいっ」

司馬は急いで洗面所へ向かう。
セーターとズボンと下着を脱いだ所でケーキの事を思い出した。
そろそろケーキ出さなきゃ、焦げちゃう!!
司馬は自分が今、カッターシャツ一枚しか身に付けていないことを忘れ、屑桐の居る部屋へと飛び出した。

「無涯さん、ケーキ!!」
「ぶほっ」

その時屑桐が見た物は、もう何だか凄くギリギリ状態の司馬。
屑桐はあまりの衝撃に口の中の物を吐き出しそうになる。

「あ、ケーキ出してくれてたんですね。…良かった。あれ?無涯さん、どうしたんですか?」

司馬はまだ、自分の格好に気付かない

「あ、あああああ葵!!な…何て…かかか格好をしている!!」

何なんだ一体。
誘っているのか?
いやいや葵がそんなことをするはずが…。
だが、気付いていないはずも…。

「え?あぁっ」

気付いていなかったのか…。
顔を真っ赤にして、どうすればいいのかわからずおろおろする司馬は、屑桐の何かを狂わせた。

「僕一回戻っ…」

屑桐は、振り返ろうとした司馬の腕を掴む。

「そのままで、居ろ」
「へ?」

長い袖から覗く指先。
細くて白い足(しかもギリギリ)。
これがチラリズムの素晴らしさか
屑桐は司馬の足を見て感動すら覚える。

「葵、こんな予想外のプレゼントをくれるだなんて、最高の誕生日だ」

司馬の肩に手を置き、屑桐はしみじみと呟いた。

「え、あの…?」
「葵、キサマは男のロマンという物を良くわかっているな」

普段の真面目な屑桐からは、想像も出来ないような言葉。
無涯さんが…壊れた!!

「無涯…さん?大丈夫ですか?」

屑桐は、心配そうに自分の顔を覗き込む司馬の顎をぐいっと掴み、そのまま口付ける。
そして、深い深いキスに力が抜けた司馬を、その場にゆっくりと倒した。

「葵、折り紙の本も嬉しかったのだが、オレはもう、限界だ」
「……え?」

「オレの、誕生日プレゼントになってくれ!!!!」
「は、はいぃっ」

屑桐のあまりの気迫に司馬は思わず返事をしてしまう。

「あのっ…ちょっと…それって」

「婚前交渉なぞ、不届きだと思っていたが、この際致し方がない」

火のついた屑桐は、もう止まらなかった。
その日、司馬は屑桐の意外な一面を見たような気がしたが、未だ痛む腰をさすりながら、幸せを噛み締めた。 。



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こんな屑桐さんが好きです
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