迷信なんて信じない


突然の雨に司馬が空を見れば、隣を歩いていた屑桐と目が合った。

「どうした?」
「雨が……」

止まって、二人して曇った空を見上げる。

「そうだ、屑桐さん。降り始めの雨が、一番最初に鼻の頭にあたると、好きな人と両想いになれるそうですよ」
「どこで覚えてきたんだ、そんなことを」
「何だっけなぁ……」

司馬が上を向いて考えていると、屑桐は興味がなさそうにしていたにもかかわらず、その顔はしっかりと上に向けられている。

「猿野が言ってたんだ!」

司馬が思い出した瞬間、二人の顔に雨粒が落ちる。
司馬には鼻の頭。
屑桐は右頬。

「やっ……」

鼻の頭にあたった喜びに、司馬が思わず屑桐の方を向くと、そこには右頬を濡らし、微妙な表情をして佇む屑桐の姿。

「ぷっ……」

そのどこか滑稽な屑桐の姿に、司馬は思わず噴出してしまう。

「何を笑っている」

更に微妙になった屑桐の表情に、司馬は微笑みながら、言った。

「やっぱり、所詮迷信なんですね」
「お前が言い始めたんだろう」
「だって、僕たちの両想いを見抜けないなんて」

司馬の言葉に、照れ臭そうに目を反らした屑桐に、司馬は自分の言った言葉に気付いて頬を染めた。
降り始めた雨の中、頬赤くした二人が、熱を覚ますように佇んでいた。







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くだらんことで意地になる屑桐さん好きだなぁ。




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