沖田総悟の陰謀
「総悟ォ」 「何ですかィ?土方さん」 「お前、これは何だ…」 「何って…見たまんまですぜ」 「テメー毎日毎日上司にこんなことしていいと思ってんのかアァァァ!!」 「土方さんが油断してるのが悪いんでさァ」 今日も、沖田の奇襲作戦は失敗に終わった。 昨日は入浴中、一昨日は食事中、そして今日は寝込み。 3日連続ともなれば、土方がキレるのも無理はない。 「大体お前、どうやって入ってきたんだよ」 「鍵、開いてやしたぜ?物騒な世の中なんだから、しっかりしてくだせぇ」 「お前が入って来なけりゃ平和だったよ」 土方は呆れたように呟き、起き上がる。 「土方さん、朝御飯はまだですかィ?」 「テンメ…食ってく気か!!」 床の上に転がった沖田のバズーカを片付けつつ、土方は沖田を家の外へ追いやった。 「土方さんは、何もわかってないでさァ」 沖田は扉の横に座り、小さく呟く。 「誰が何もわかってねーって?」 まだ近くに居たらしい土方が、ドアを開け、沖田の横に立つ。 「居たんですか」 「居ちゃ悪いのか」 上を向き、土方を見つめていた沖田が、ふいっと眼を反らす。 「総悟?」 少しさっきと様子の違う沖田に、土方は訝しげに訊ねた。 「土方さんは…」 「何だ?」 「あー…やっぱ何でも」 「気になるだろ」 沖田はすぅっと息を吸うと、再び土方を見た。 大きな眼が土方を捉え、少し揺れる。 「土方さんは、本当に俺が副長の座を狙ってるって思ってるんですかィ?」 「何だよ今更。あんだけされて思わねー方がおかしいだろ」 「違いまさァ。そんなつもり、全然ないでさァ」 「え!?……は?」 沖田は立ち上がり、土方に背を向けた。 「土方さん、仕事遅刻しちゃいけやせんぜ」 「ちょっ…オイ!!待てよ総悟ォ」 土方が沖田の腕を掴むと、びくんと沖田の肩が揺れる。 良く見ると、耳まで赤く染まった顔。 「…総悟?」 「か…か…」 「…か?」 沖田は振り返り、自分の腕を掴む土方の手を外す。 「ただ…構って欲しかっただけでさァ」 消え入りそうな声で呟き、もう一度土方に背を向けた。 走り去ろうとした沖田の腕を、土方は再び掴む。 「バァーカ」 「部下にそんな言い方はないんじゃないんですかィ?」 「ンな回りくどいことしねーでも、いつでも構ってやるのに」 「本当ですかィ?」 沈んでいたはずの沖田の顔が、パァっと明るくなる。 「あぁ」 そして、ニヤ、と真っ黒い笑みを浮かべる。 「…総悟?」 「約束ですぜ?」 沖田は満面の笑みでそう言うと、くるっと土方に背を向けた。 「まさか…総悟ォ!!お前図ったな!!」 「油断してる土方さんが悪いんでさァ」 「俺はあんな約束、認めねーからな」 「武士に二言があってもいいんですかィ?」 「っ………」 沖田の言葉に、土方は言葉を詰まらせる。 「毎日楽しくなりそうでさァ」 「ちっくしょオォォォォ!!」 沖田は、悔しそうな土方を横目に歩き出した。 「やっぱり、土方さんは何もわかってないでさァ」 そんなことを呟きながらも、これでいつも傍に居る口実ができた、と沖田は微笑むのだった。 -End- ++++++++++ 金崎様へ捧げます。 初土沖です。 金崎様は沖土派だということで、どっちつかずな感じの小説にしようと目論みましたが、 見事に撃沈しました。 中途半端ですみません。 というか、いかにも初書きな感じの小説ですみません。 出来はともかく、書くのは楽しかったので、これからも書いてきたいなーと思いました。 では、こんな物で良ければ、貰ってやって下さい。 西川柚子
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