探り合い


「アンタの言葉にゃ本心がこもってる気がしねェ」

黙ったままの土方に、沖田は無理矢理にキスをした。
わざと音を鳴らすように唇を離すと、身体の奥が酷く疼いた。
それでも土方は、表情を変えることなく柱に寄りかかっている。

「土方さんは、知らねェでしょ? 俺の気持ちも、自分の気持ちも」
「生憎、自分の気持ちくらいはわかっているつもりだが?」
「嘘吐き」

沖田は、ようやく口を開いた土方の上に跨ると、頬を両手で掴んで土方を見つめる。
そしてもう一度キスをしながら、土方の心臓を左手で確認した。

「こんなに速く脈打ってんのに、それでも気付かないんですかィ? さっさと俺のことが好きだって言えばいいんでさァ」

沖田の言葉に、土方は沖田の脇に手を入れ、宙に浮かせるとそのまま畳の上に押し倒した。

「じゃあ聞くが総悟、俺がそれに気付いて何のメリットがあるんだよ?」
「あんたの言葉よりは重い言葉をやりまさァ」

沖田は、土方の下からするりと擦り抜けて立ち上がる。

「まぁ生憎、本心も見せずに関わろうとするやつにやる言葉なんて持ち合わせていやせんが」
「……相変わらずお前はむかつく野郎だ」
「そんなの昔っからわかってたことでしょう? 大体、土方さんに言われたくありやせん」

そう言って沖田が部屋を出ようとすると、土方が沖田の手を掴む。

「気付かないふりをしていた方が、おもしれーだろうが」
「な……っ」

そして土方はそのまま沖田を自分の方へ引き寄せると、強引に唇を合わせる。
歯列を丹念になぞり、舌を絡ませ、何度も角度を変えて口付ければ。沖田の身体がびくんと揺れる。

「さっさと、重い言葉を寄越しやがれ」

土方は顔を赤く染め、息を切らす沖田にそんなことを言い放ってにやりと口角を上げて笑った。

「俺より先に死んだら三代まで呪ってやる」
「残念だが、俺もお前が俺より先に死んだら、四代まで呪ってやろうと思っていたところだ」
「それじゃあ呪い合いじゃねィですか」
「そうだな。まぁでも、いいじゃねーか」
「そうですねィ」

土方の言葉が、沖田の胸に深く刺さった。
それは他の何よりも、重く感じた。







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