制御不能


「もう、こんな関係終わりにしねぇ?」

そう告げると、葵の表情はみるみるうちに歪んでいった。
ただ、互いに呼び出しあって、会うだけ。
何の生産性もねぇ。
何の発展も、ない。
葵はそれで満足かもしんねーけど。
オレは葵に一歩近づき、葵の髪を摘む。

「な…何?」
「別に…」

オレは、もう我慢できねーし、葵が欲しいし、こんな不毛なまま続けたって、意味ねーと思うし。
例え、葵がそれ望んでなくても、オレは望む。

「御…柳?」

声色が変わり、ゆっくり後ずさる葵の腕を掴んで、サングラスを取り払う。

「何?…やだよ…」

ブツリ、と頭の奥で回路の切れる音がした。
あーあ、もう駄目だ。

「好きなんだよ」
「…え?」
「アンタが好きなの。欲しいんだよ、葵が。
 なぁ、こんなただ会うだけ会って、何もしねーって楽しい?  オレはつまんねぇ。
 オレは葵と抱き合いてーし、キスしてーし、セックスだってしてーよ。
 オレ、おかしくねーよな? 好きなヤツとしたいって思うの、当然のことっしょ?」

一気にまくし立てて、オレは、大きく深呼吸をした。
あーくだらねぇ。
傷付けて、欲望押し付けて。
自分勝手なトコが、いつまで経っても治んねーんだ。
頭ではわかってんのに、身体が止まんねぇ。
制御不能な身体が、目の前の葵が欲しいって、オレの本能に強請ってる。

「そんなの…わかんないよ。だって僕たち…」

続きなんか聞きたくねーから、葵の唇を強引に塞いだ。

「んんっ…」

必死にオレを引き剥がそうとするけど、無視してオレは、葵の口内を犯し続ける。
オレの腕を掴んだ指が、ぶるぶると震えてる。
逃げ惑う舌を強引に絡めとって吸い付いて。
オレの味教え込まして溺れさせたい。
ゆっくりと唇を離せば、潤んだ目がオレを捕らえた。
唾液で濡れた唇が、悩ましくオレを誘う。

「葵は、自覚ねーんだろうけど」

そろそろと迫って、葵を床に倒してく。

「アンタの全部が、オレおかしくさせてるって気付いてる?」
「…そんなの、知らないよ」

きっと、狂ってるのはオレだけ。
こんなに求めてんのもオレだけ。
オレはもう、止めらんねー気持ちどうにか抑えつけながら、葵にもう一度口付けた。
飛んだ理性持て余したまんまじゃ何処へも行けねーから。
いっそ葵も狂ってくんねーかななんて願いながら一人、堕ちる。














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これも結構気に入っている話。てか柳馬は書きやすい。
猿馬の次に書きやすいかもしれません。



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