塩っ辛い
薄暗い部屋で、沖田は銀時にしなだれかかった。 「旦那の身体はいつも、微かに甘い匂いがしてて美味そうですねィ。食ってもいいですかィ?」 「総悟くん、これから喰われる身なのにそゆこと言わないの」 「だって」 小さく笑う銀時に、沖田は小さくちぇーっと舌打ちし、銀時の首に腕を回し、しがみつくように抱きついた。 銀時は、沖田の後頭部をぽんぽんと撫で、その後自分の腕を嗅ぐ。 「甘い匂いなんてしねェぞ?」 「ここが、一番強いでさァ」 そう言って沖田は、銀時の首筋をつぅっと指でなぞった。 ぞくり、と銀時が身体を震わせると、含み笑いをして、今度はぺろりと銀時の首筋を舐めた。 すると銀時は先ほどより大きく身体を震わせた。 「塩っ辛れィ」 「こーら、何してんだよ」 「味見でさァ」 銀時が沖田の肩を掴んで自分の身体から剥がし、その表情を窺うと、沖田は心底嬉しそうに微笑んだ。 「旦那、匂いは甘いのにここは塩っ辛いんですねィ。こんなこと、俺しか知らない。そうでしょう?」 「総悟くん、あんまりカワイイこと言うと、銀さん襲っちゃうよ?」 「どうぞ好きにしろィ。というか、今まさにその途中でしょう」 「そりゃァそうだった」 銀時は、沖田の肩を掴んだままその場に押し倒し、沖田の首筋に顔を埋める。 ぺろり、と舐めた味は塩っ辛かった。 甘さに慣れた舌にはちょうど良い塩加減だ。
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