存在意義
「なぁー…オレって必要?」 「…どうしたの?」
突然の御柳の言葉に、司馬は不思議そうにそう答えた。 御柳は、するすると司馬の元へ近寄り、司馬の胸に顔を埋め、背中に腕を回す。 「ンなことどーでもいいっしょ。必要か、そうじゃねーかを訊いてんだよ」
「必要に…決まってんじゃん」
「それならいい」
御柳はそう呟くと、司馬の背中に回した腕に、ぎゅっと力を込める。
「芭唐こそ…僕、必要?」
「必要じゃねーやつに、自分が必要かなんて訊かねーよ」
「…そっか。そうだね」
司馬も、御柳の頭を抱き締める。
「もし、要らなくなっても、要らないなんて、言わないでね。…黙って僕から離れてね」
「あー…つか葵が要らなくなるなんて、有り得ねーし」
「そか、良かった」
二人は、同時に顔を上げ、目を合わせて、惹かれ合うようにキスをした。
「誰かに必要とされなくなるのは、こえーよな」
「…うん、怖いね。凄く、怖いよ」
御柳はまた、司馬の胸に顔を埋め、司馬はまた、御柳の頭を抱き締める。
「葵だけは、ぜってーオレが一生必要とすっから。覚悟しとけ」
「ふふ、ありがとう。僕も、芭唐だけはずっとずっと、必要だよ」
二人は同時に笑い合うと、また、唇を重ねた。
もう、必要か、必要じゃないか、なんて、どうでも良くなった。
お互いの体温が、温かかった。
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