嬉しいの大きさ


何にも迷う必要なんてないよ。
手を繋ごう。
キスをしよう。
君の不安なんて、僕が全部拭ってあげる。
どんな悲しみや苦しみからも、僕が守る。
僕が全部守るから。

「ねぇ、知ってた?」
「とりあえず、何がだ」

ソファーに腰掛けた司馬が、隣の犬飼の顔を覗き込みながら訊ねる。
司馬の部屋は、生活感がまったく無く、この部屋にはソファーとパソコン、CDラックとオーディオ以外には何もない。
真っ白な壁とソファーには、銀と青の髪の毛がよく映えていて、二人は寄り添うようにそこに腰掛けていた。

「悲しいとか、苦しいを知ってる人のほうが、知らない人より嬉しいをおっきく感じられること」

司馬は、犬飼の手を強く握って俯いた。
真っ青な髪から覗くうなじはほんのりと赤に染まり、それは耳元にまで伝染して、司馬の体温を上げる。

「多分今、それすげー感じてる」

犬飼は、司馬の手を握り返して笑った。

「僕もね、犬飼に出会ってわかったんだよ。犬飼に会って、嬉しいがどんなに大きいかわかった」

俯いたままの司馬の顔を上げ、犬飼は司馬に触れるだけのキスをする。
何となく言葉に詰まって。
余韻に浸ったまんま、二人はぎこちなくソファーに座りなおす。
ゆるゆると、手を繋ぎなおした。
悲しみを溜めた胸を庇うように、二人は抱き締めあって笑った。







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僕もね〜の辺りは司馬くんに必死で喋ってほしい。



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