予防線


シバくんは犬飼くんが好きで。
きっと。
犬飼くんもシバくんが好きで。
淡々と密やかに、だけど揺るぎなく、確かに二人の間にだけ、流れる時間がある。
到底ぼくなんかじゃ、入れない隙間。

「ねぇ、シバくん」
「……?」

ぼくが呼べば、笑って振り向いてくれるけれど。
やっぱりまだ、言葉は発してくれない。

「あのさ、今日の部活なんだけど」

どれだけ必死に話したって、偶然通りかかった犬飼くんに、視線奪われる。

「ねぇ…」

シバくんは知ってるの?
ぼくの気持ち。
ぼくの想い。
ぼくの、熱情を。
今すぐ欲しいのに、関係壊したくなくて。
あと一歩のトコで、いつだって押し込める。

「…?」

シバくんはどうしたの?、とでも言いたげに首を傾げる。
ぼくはシバくんの腕を引き、唇ギリギリのトコまで近付いて、離れる。

「驚いた〜?」

冗談めかして笑って。
驚くシバくんからかって。
そうだよ、いつも通りぼくらは友達なんだから。
これ以上、前に進むことなんて有り得ないんだから。
シバくんを見る。
サングラス越しに透ける眼は、綺麗で。
きっとサングラス無しで見たら、もっと綺麗なんだろうけど。
君のサングラスはぼくの予防線。
ぼくの前で外したら。
きっともう止まらない。














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兎馬はこういう感じが一番好きです。
淡々としてる感じが。
二人が付き合ってるにしても、凄い緩やかに時間が過ぎてくような。



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