弱さを落とす場所
「山崎ィ、ちょいと肩、貸してくだせェ」 沖田は血と泥と涙に濡れた顔でへらっと笑った。 山崎は何も言わずに、否、何も言えないままゆっくりと沖田を抱き締める。 沖田は山崎の肩にこてんと頭を乗せ、口を開いた。 「へへ、隊服汚しちまった。また怒られまさァ」 「沖田隊長……」 「今日は近藤さんが滑って転んだんですぜ、はは、傑作でしょう?」 「沖田隊長!」 「やまざ……」 「いいんですよ? 俺なんかに気を使わなくたって」 背中で山崎の服を掴む沖田の手に、ぎゅうっと力が入る。 ふるふると震える沖田の身体を、山崎は更に強く抱き締めた。 「だから、俺のところに来たんでしょう?」 沖田は、固く縮こまる自分の身体を、がむしゃらに山崎に押し付けた。 流れ出る想いに身体を委ねて。 溢れ出る涙を拭うように擦り付ける。 「俺を利用したかったら、いくらでも利用して下さい。貴方の見せる弱さが、俺にはとても嬉しいんです」 血なまぐさい臭いが鼻を衝いた。 山崎の部屋は、沖田から垂れた雨のしずくでびしょびしょに濡れていた。 「ありがとう、ございやす」 沖田の信じられない言葉に、山崎は一つ笑って、沖田を更に強く強く抱き締めた。 ++++++++++ こういう関係の山沖が堪らなく好き。
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